<この記事では、ごく一般的な相続についてご説明します。>
生前保有していた預貯金、株式、不動産などの財産は、その所有者が亡くなると、所有者の妻や子など法律で定められた親族に引き継がれます。
これが「相続」で、亡くなった所有者が「被相続人」、法律で定められた引き継ぐ親族が「相続人」です。
被相続人名義の口座からの預貯金引出しや、株券の名義を書き換えるには、金融機関や証券会社等で手続きを行う必要があります。
不動産の場合は、「相続登記」を行うことにより、被相続人名義から相続人に名義が変更されます。
相続の手続きにあたって大切なこと
相続に必要な書類や手順はいくつかありますが、最初にするべき大切なことは、「被相続人の相続人を全て特定すること」です。
これには「被相続人の、おおよそ生まれてから亡くなるまでの戸籍全て」が必要になります。
戸籍には、親兄弟、結婚、離婚、再婚、子供が何人いるか・・・など親族関係に関する事項が全て記載されている、といっても過言ではありません。
「亡くなったお父さんの相続人は、お母さんと子供の僕の二人だけだね」と思っていたのに、「実は、お父さんには離婚歴があって、会ったこともない兄がいる」「全く知らなかった。認知された弟がいる」といったことが、戸籍を見るとわかるのです。
相続人の人数によって、相続持分も変わってきます。だから、被相続人の相続人は誰か、何人いるかを、正しく確定させる必要があるのです。
遺産分割協議
相続での財産の分配は、法律に定められた相続持分でのほか、相続人「全員で話し合って決める」こともできます。この話し合いを遺産分割協議といい、一人でも相続人が不参加の遺産分割協議は無効です。
例えば「預貯金は子供に、代わりに実家は引き続き住むお母さんのものにしよう」や、「相続人は兄弟2人だけだから、法律で決まった持分はそれぞれ1/2だけど、兄2/5弟3/5にしよう」というように、決めることができます。
協議が調うと、「遺産分割協議書」を作成します。
相続登記をするにあたっては
相続登記には、被相続人の戸籍のほか、相続人の戸籍など必要な書類が多くあります。
また、登記手続きでは、遺産分割協議書には、相続人の実印の押印と印鑑証明書の添付、そして登記手続きに合った記載様式であることも必要ですし、登記手続きにのみ必要、という書類もあります。
読み解くのがなかなか難しい明治、大正や昭和初期の古い戸籍もあり、また、必要な書類が全て揃っているかの確認作業にも労力を要します。
スムーズに相続登記を行いたい場合は、登記の専門家である司法書士に依頼することをお勧めします。