不動産を売却すると、売買代金の支払、物件の引渡しとともに、売主から買主名義に変更するために必要な登記手続を行います。
買主への所有権移転登記
所有権移転登記が行われ、所有者として登記簿に記載されることにより、買主は「私がこの不動産の新しい所有者です」と第三者に主張することができるので、とても大切な登記です。
買主が融資を受けて不動産を購入した場合は、その担保権設定登記
住宅ローンなど、金融機関から融資を受けて不動産を購入する場合は、その担保権(抵当権や根抵当権)設定登記を行います。
買主への登記を行う前に必要な登記
買主への所有権移転や担保権の登記は、「登記簿を、余計な登記がされていない、正しくきれいな状態にしてから」行うのが絶対条件ですので、次の場合は、所有権移転登記や担保権設定登記の前提として行わなくてはいけない登記があります。
1.売主の住所や氏名(苗字)が、登記簿と違っている場合
売主が、引越しや結婚をして苗字が変わったなどの事情で登記簿に記載されている住所や苗字が、現在の住所や苗字と違っている場合、住所変更登記、氏名変更登記が必要になります。
法務局は、登記されている住所と氏名が印鑑証明書や住民票と一致していることで、所有者と売主が同一人物だと判断します。
一致しないと所有者ではない者からの登記申請と判断され、所有権移転登記は受け付けてもらえません。
2.売主側の担保権(抵当権や根抵当権)その他の権利が登記されている場合
売主が、不動産を担保に住宅ローンや事業資金を借りて登記していた担保権(抵当権、根抵当権)や、その他売主側で登記している権利がある場合は、その抹消登記も行わなければなりません。
担保権は「貸したお金が返せないときは、不動産を競売にかける」という権限を持っているので、担保権がついたまま不動産を購入、登記してしまうのはとても危険です。また登記は「先に登記したものが優位」なので、買主の所有権より先に登記された権利があると、買主が思わぬ不利益を被る可能性も出てきます。
通常、買主が融資を利用して不動産を購入する場合は、売主側の担保権その他の登記の抹消が融資の条件となっていますが、融資を利用しなくても、売主側で登記されている権利は全て抹消してから買主への登記を行うのが当然となっています。
事前の準備を万全に
不動産の売却は、買主への所有権移転登記が完了することによって終了するといっても過言ではありません。
代金を支払う当日になって、抵当権抹消のための書類が間に合わない、権利証がない、売主の現住所が登記簿の住所と違っているのがわかった、といったことが起こると、支払い日の延期や引越しの予定変更などさまざまな影響が出てしまうことにもなりかねません。
代金の支払い、物件の引渡し、登記手続まで滞りなく無事に終えられるよう、事前の準備を万全にしてください。