ジュゼッペは子どものころ、家族と一緒に外国を旅していました。彼はトラベリングスクール(Traveling high school、例:https://thinkglobalschool.org/のように、学校のカリキュラムに旅行が含まれており、色々な場所を旅してそこで得られる経験から得られる経験から学ぶという方針の学校)に行き、国内外の様々なところを旅しました。
18歳になるとすぐ、彼ははじめて貨物列車に飛び乗って旅をしました。トラックで生活をしたり、10年間列車に乗ったりヒッチハイクをしたりという生活をして、その次に現在のバスでの生活を始めました。
貨物列車やヒッチハイクで旅をしながらの生活は大きな自由に満ちていました。でも現在の、乗り物に乗っての生活は自由をちゃんと維持しながら、以前よりも身の安全がちゃんと確保できるようになりました。列車やヒッチハイクには自由がありますが危険もあります。
このバスを10年前に買い、リサイクルの材料を主に使ってDIYで改装しました。作業には長い時間がかかりましたが、DIYのスキルがなかった彼を友人やコミュニティの人たちが助けてくれました。この経験も大事な学びのプロセスとなりました。
ジュゼッペのバスを訪れる人が最初に目にするものは「Free Tea」(無料のお茶)と書かれたボードです。彼の育ったコミュニティでは、ギブアンドテイクの大事さを教えられてきました。人々はお互いに何かをし合うということが大切です。
彼はこのバスでお茶を振舞いますが、お金では買えない人と人との真の相互作用の経験を提供したいと、お金でのチップや寄付などは受け取っていませんでした。
それでも彼にお金を払おうとする人はたくさんいるので、そこで彼はバスの中に「Gift and Take」(ギフトアンドテイク)というコーナーを設けました。
そこにはお金やささやかなギフトなどを入れる引き出しがあり、誰もが何かを入れてもいいし、何もしなくてもいいし、無料のお茶を飲んで更に中のお金ももらって帰ってもいいのです。このコーナーを始めた目的は人々に自分の行動に責任をもつという意識を広めたかったからでした。始めてから9年経ちますが、お金の入っている引き出しが空になったのは本当にお金が必要だった一人の人がもらっていった、その一度だけでした。
彼はこれを人間性について改めて考えることのできる面白い取り組みだと考えています。ジュゼッペにとって最も価値のあるものは人と人との関係や絆です。人々の間にたくさんの結びつきができてそれが強くなったとき、社会の弾力性というものもまた増すのだと考えています。
彼はこのタイニーハウスでの「Free Tea」をたくさんの人とシェアすることよって、人々がもっとお互いに働きかけ助け合う世界が実現できるようになりたいと考えています。生活の中の基本的なニーズが満たされていれば、人というのは生来自己中心的なものではなくもっと調和のとれた存在であると信じているからです。