この土地はもともとリチャードの祖父がバトンバレーに金山を開発することを夢見て最初に購入しました。でもこの場所が金で栄えることはなく、その後農場となってリチャードまで三代に渡って受け継がれてきました。
国立公園となっている山に囲まれているので、今でも周囲に人家などがなく、遠く隔絶した場所のようになっており、そのため電気やガスなどは通っていません。今はソーラーパネルで生活に必要な電気を作ることができますが、その他は電線やガスを引かないオフグリッドの生活をしています。
二人の住む「ハニーウェルハット」というキャビンは、もともとはネルソンの街中でスイミングプールの更衣室として使われていました。
この建物を気に入った二人は2,000ニュージーランドドル(約14.5万円)で購入し、バトンバレーまで細い一方通行の山道を苦労して運び、そこに色々と手を入れて素敵なキャビンに作り変えました。
ここで二人の友人であるジャック・ハニーウェルが多くの手助けをしてくれましたが、大きな大工仕事から家の細かいデザインに至るまで、隅々に気を配って本当に心のこもった仕事をしてくれました。そこからこの家の名前はその大切な友人からとって「ハニーウェルハット」となりました。
このキャビンがバトンバレーに建てられてまだ8年ほどですが、もう何十年も前からそこにあるような風格の漂う家になりました。インテリアの装飾に使われている材料や、キッチンで使っている食器などほとんど全てバトンバレーやその周辺から持ってきたり作られたりしたものです。
二人はここを生活の他に、ホーストレッキングの登山客をもてなす場所としても使っています。
夏の間はこのキャビンを利用してトレッキングに出かける人たちでとても賑わいますが、ずっと自分たちの家に誰か他の人がいると、時には静かな時間が必要になります。
また、この家は古い木造の為、火には特別気を付けていることから、家から少し離れた川のそばにベンチやオブジェを置いて、そこで焚き火をしてくつろげるスペースを別に作りました。
現代社会では人々は常に忙しく、パソコンや家電に囲まれた生活の中で本当に大切なものは何かを簡単に忘れ去ってしまいます。
そのような中で、このバトンバレーのキャビンに来て、都会の喧騒から完璧に切り離された大自然の中で過ごしてみることは、とても貴重な体験になるのではないでしょうか。