ニュージーランドにあるスティーブとジュディ夫妻のタイニーハウスは、可愛らしいブーツの形をしています。大きなブーツの中に住んでいるようなこのタイニーハウスのデザインは、靴の中に住んでいるおばあさんのおとぎ話を元に作られました。
ワインを飲みながらの何気ない会話の中で、そんな家があったらどうだろうというアイディアが出てきたのですが、そこから何年か経った後でも、そのアイディアを忘れる事はありませんでした。
そこである時、ここできっぱりそのアイディアを忘れるか、それとも思い切って実行してみるかと考えた時に、実際にブーツの形のタイニーハウスを作る方を選んだのです。
ブーツのつま先に当たる部分は、鉄製のフレームを加工して丸いアーチの骨組みを作りましたが、主に船を手掛ける大工をしていた友人がその技術を応用して助けてくれました。
その他にも、ブーツには靴紐を通す穴や、細かい折り目や縫い目などが友人たちの手を借りて忠実に再現されています。
タイニーハウスが建っている土地は、1991年に夫妻が自分たちや子どもたちの安住の地とするために購入したもので、ここに引っ越してきた当時からずっと敷地内でカフェを営んでいます。
このタイニーハウスは1999年から2000年にかけて作られたので、建ってからもうおよそ18年になります。
最初に土地を買った時に建てた家に住んでいるので、このタイニーハウスは住む為のものではなく、夫妻が時々ゆったりした時間を過ごすのに使い、あとは宿泊施設として貸し出しています。
主に2人用の隠れ家的なゲストハウスをコンセプトにしており、テレビもインターネットも無く、おとぎ話から出てきたような可愛らしい暖炉や家具のある空間で、ゆっくりと語り合ったり、非日常の時間を過ごしてもらったりすることを目的としています。
スティーブたちはこの他にも、同じ敷地内に二つのナチュラルビルドのタイニーハウスを作っており、そこにもお客さんとして泊まることができます。二つともホビットの家のようなメルヘンにあふれた可愛らしいデザインです。
スティーブとジュディは自分たちのアイディアを次々と形にしています。If it is worthdoing, it is worth doing well.(いやしくもする価値のあることは立派にする価値がある)ということわざがありますが、二人のモットーはこれを少し変えて、If it is worth doing, it is worth doing humorously.(する価値のある事は、ユーモラスにする価値のあるものだ)というものです。
二人は、思い浮かんだものやこんな家があったら素敵だなと思うものを、ただ想像するだけでなく、実際に作って、自分たちはもちろん他の人々にも驚きや喜びを与えてくれています。