この面白い建築法は、ネーダー・ハリーリ(Nader Khalili)によって考案されたものです。NASAから、火星や月で使えるような、地球から持って行ける材料が非常に限られた中で作れる建物の工法を考案できないかと依頼されて考えました。
アースバッグはまだ宇宙開発では採用されていませんが、この地球上ではユニークな工法として、この方法で家を建てる人が出てきています。
イザベラとセバスチャンのカップルも、この方法で家を建てました。
まだ内部は完璧に仕上がったわけではありませんが、この長期のプロジェクトはほぼ完成しようとしています。
土嚢袋の中身の配合について、彼らは自分たちで土や砂、セメントなどの配合を考案し、それをアメリカのカルアース研究所に招かれてワークショップを開催しました。そこで学ぶ学生たちのうちの2人が彼らの家の建設を手伝いにきてくれました。
4人が週に6日、1日に12~15時間の作業をして、4か月で家のおおもとの部分が完成しました。
そこからはイザベラとセバスチャンが2人で作業を続け、中に人が住める状態まで作りました。
このアースバッグの建物は、もともとはカリフォルニアの砂漠の中に建てられることを想定して、砂漠の気候や地震には強い耐性を持っています。
しかし、カナダ・ケベックの厳しい冬の気候や、気温の変動、湿度に対応できるようには設計されていなかったので、彼らは地元の建築家やエンジニアに相談して、元の設計を修正しました。
ケベックにこの家を建ててしばらく時間が経つと、水漏れするような壁のひび割れまではできませんでしたが、建物は湿気を吸収し、内部の湿度が非常に高くなってしまいました。
そこで、彼らは家の外壁に高分子膜をほどこして、水分が浸透するのを防ぎました。
それでもまだ湿気が残っていたので、ロケットストーブ(断熱された排気管と燃焼管を持ち、薪をくべて使用する暖房機器)をつけたところ、部屋の中がちゃんと乾燥しました。
この家は、この辺りでの伝統的なスタイルの家を建てるよりもコストが安く済みます。
ですが、人間による肉体労働をとても必要としますし、これまで説明したような色々な努力をしなければなりません。
そこで、このようなスタイルの家を建てたいと考えている人たちには、必要な助けを得るためにたくさんの家族や友人を持つことをおすすめします。
二人の目標は、人々に幅広い家の選択肢を紹介することです。
ティピー(アメリカ先住民のテント)やヤート(モンゴル遊牧民のゲル)や日干しレンガのドームなど、人々に自然の中で過ごす機会を与え、自給自足の生活を奨励するアクティビティを紹介し、皆がものづくりに再び興味を持てるようになってくれたらと考えています。
彼らが提供しようとしているアクティビティとは、ものづくりのスキルのシェアです。
それがかごを編むことであれ、ピザづくりやロケットストーブの組み立てであれ、何であれ自分の手で何かを作ることについての学びの体験です。
この家を作るということは、とても良い経験でした。たくさんのシェア、チームワーク、結束があり、二人にとっては大成功でした。
自分の家、自分の住む場所の作り方を知ることは素晴らしい学びの経験です。これは学校でも教えるべきことだと思います。