家族が一体となって住んでいる場所の手入れをしていくという点で、タイニーハウスとパーマカルチャーはしばしばセットで語られることがあります。
マーレイのタイニーハウスも、パーマカルチャーを実践している土地にたっています。彼はある時ワークショップに参加したことで、タイニーハウスのコンセプトを知りました。
とても興味深いとは思いましたが、その時はトレーラーや台車などの上に家を建てるのなら、キャンピングカーやトレーラーハウスと同じではないかと思っていました。
でも、その後事情によりそれまで住んでいた家から出なければならなくなったのですが、賃貸住宅に住むかその他を考えるか、決断しなければいけませんでした。賃貸での生活をしたくなかったので、その他の選択肢を考えた結果、タイニーハウスを建ててみることにしたのです。
全ては新しい経験で、少しずつ手探りでタイニーハウスを作らなければなりませんでした。毎日こつこつとまるでマラソンを走るように一つずつパーツを作っていき、疲れて途方に暮れたこともありましたが、それまで生きてきた中でもっとも満ち足りた時間でした。
ボートの形をモチーフにデザインしたタイニーハウスは、その材料には拾った廃材をリサイクルして使っています。ソーラーパネルで発電をしていて冷蔵庫以外では電線を引かない、ほぼ完全なオフグリッドの生活をしています。雨水を集めて食器を洗う時や菜園の水やりに使っていて、排水も無駄なく利用し、使ったものが再び自然環境の中で循環するようなシステムを作っているのです。
大型機械や化学薬品などに頼らないパーマカルチャーの農場運営を実践するためには、コミュニティの中で協力し合うことがとても必要です。マーレイたちも他の2家族と協力して合計3家族で農園の仕事をしています。
他の人たちと常にコミュニケーションをとり、自分たちだけの考えでなく協調して色々なことを乗り越えなければいけないという事は、彼らにとってはやはり初めてのことで大きな挑戦でした。
タイニーハウスに住んで、以前よりも体力的にも時間的にも大きな余裕ができました。パーマカルチャーでは、自分たちが食べていくだけの仕組みを作れば良いのです。
それは特別大きな努力や大きなローンは必要としません。なぜならばパーマカルチャーの環境というものは、自然が自分の力で循環して結果として人間の食べ物を供給してくれるものだからです。
タイニーハウスを建てるための費用は全部で13,000ドルくらいでした。マーレイたちには時間はたくさんありましたが、お金はそんなにありませんでした。でもローンを組んだり誰かにお金を借りたりはしませんでした。
お金に余裕のない状態でタイニーハウスを作り始めたことは、結果的にはよかったと思っています。
その分時間をかけて自分の手で必要なものを作ったり、頭を使ってお金をかけずに色々なことをする方法を考えようとするからです。家の建て始めと終わりで、銀行の残高はほぼ変わりませんでした。
土地を買うためにはローンが必要でしたが、普通の賃貸住宅でかかる賃料とそんなに変わらないくらいの金額です。それは彼らの生活を重くするものではなく、その完済後はこのパーマカルチャーの土地が更に豊かなものになるという有意義な投資であると考えています。