この家を建てたのはジェイコブ。建築物というよりアートの領域かもしれません。人が暮らす彫刻のようなものです。
妖精やホビットにゴブリンが暮らす家。子どもの頃に読んだ本の憧れが大人になったいまでも胸の内にありました。物語を語れるような家が欲しいと思いました。滝や山の絶景を見て感動するように、人がそれを見たときに思わず息を飲むような家を目指しました。
このようなキャビンに暮らすきっかけになったのは恋した女性がまさにキャビンに住んでいたからでした。自分もキャビンで暮らすようになり、自分でも建てられるのではと思い土地の所有者に許可を求めました。
建築材の多くはリサイクル品です。急な傾斜の屋根には苔を植えています。屋根は教会や聖堂をイメージして十字になるように組みました。エネルギーが建物にたっぷり注ぎ込まれるようにと思いをこめています。森の中にある聖堂というコンセプトです。
中に入るとそこはまさに家です。調度品もやはりリサイクル品ばかり。シンクもそうだし、調理コンロももともとキャンプカーにあったものです。骨組みが見えるデザインを意識しています。ロフトを見るとそのデザインがよくわかります。
費用はおよそ7,500ドルです。もちろん建築には多大な労力が必要ですが、実現可能な夢と言える額でしょう。重要なのは土地です。所有者から許可をもらうことができたのが大きなポイントでした。
現在建築中のキャビンは王冠をイメージしたデザインです。建築したあとにこれまで以上にその建築が好きになるとは思ってもいませんでした。私が作り上げた空間で暮らす人たちの顔を見ると、ますます建築が好きになります。