私たちが社会や地球環境に優しい生活を送るためには、食生活など生きるための基本的なニーズを満たしてくれるものの構造が、消費や枯渇よりも再生の方に重点を置かれるようにしなければなりません。
環境に有害な農耕技術を助長する原因となっている「食べ物をスーパーで買う」という事についてどんな代替の選択肢があるかを探りたいと思いました。
フランクは環境に優しい農業について25年もの間研究を続けています。様々な問題をすべて解決するために、特別な事というものはありません。環境への配慮や食物の質を上げていくために、すべきことはとても単純なのです。
CSAは(Community Supported Agriculture 地域に支えられる農業)の略称です。
農家が作物を育てる過程で、たくさんの不明事項と言うべきものがあります。というのは、農家は種をまいてから数カ月先の収穫の時点で、それがどうなっているか、売る先があるのか、何も確証がないのです。
CSAは農家をコミュニティーがサポートするというコンセプトです。これによって農家は確実に販売する先があるという保証ができます。
CSAに入っているメンバーの住む場所によって毎週水曜日か木曜日、その直前に収穫されたばかりの新鮮な野菜を発送しています。
野菜を受け取るCSAのメンバーはその野菜がどこで栽培され収穫されたのかという確証を得ることが出来ます。作物が無駄になる心配もありません。
なぜならば、たとえば小さすぎてスーパーマーケットには出せないブロッコリーがあるとすれば、CSAではそれを2つセットにして販売したり出来るからです。
スーパーマーケットはCSAのコンセプトとは反対の存在であると考えています。
スーパーマーケットでは、売るためには大きなもの、そして長く貯蔵できるものを求められます。そしてそのことが、農家たちを終わりのない競争へと駆り立てて、環境汚染や様々な悪影響を生み出す原因となっています。
農家として本来すべきことは、良い土づくりをして良い作物を育て動物を育て、更には食物連鎖という点で、良い土壌に微生物を繁栄させることです。
土に良い微生物の生息場所を提供するだけで、その微生物があらゆる植物を育てるシステムを作り出してくれるのです。そこで植物を植えれば、それは何十年もずっとそこで定着してくれるでしょう。
虫たちから始まって、豚や羊など様々な家畜や動物がその土地を豊かにしてくれます。肥料を買う必要のない農法のために、動物たちは必須です。
フランクが農場を営んでいる場所は、以前はただ草が生えているだけの何もないところでした。今はそんな事がまったくわからないほど、豊かな農地になりました。
これが人の力でできることです。人は自分たちで楽園を作ることができるのです。
今フランクの農場では、ニュージーランドのもともとの自然の森よりもずっと多くの鳥の鳴き声が聞こえます。外来種の鳥が全くいないというわけではありませんが、この鳥たちの音は魂を解放するような安らぎをもたらしてくれます。
スーパーマーケットによる流通システムは、形が揃っていて傷のない作物を求めています。作物の見た目に関する注文は、栄養価が高いことなどよりも優先されるのです。
これが型にはまった農法、肥料を与えすぎたり有害な農薬を散布したりすることにつながっています。
CSAの提案する新しい流通の形では、農家はこういった要求をかなえる必要がないので、プレッシャーから解放されます。
豊かな土壌を作り、生物多様性をもたらすことによって干ばつや虫害への自然な抵抗力や弾力性を高めます。これは他の流通システムの中では許されない多様性です。
CSAの流通システムによって野菜を買っているメンバーは、農家たちにそんな農法を可能にしてくれています。
もしあなたが環境問題やあなた自身の健康管理について興味があるなら、ぜひこのCSAのような取り組みが身近にないか探してみて、そしてそこから食べ物を買ってみてください。
きっと満足が得られるでしょう。
そしてそこから新たな変化にどんどんつながっていき、最終的には世界を変えていってくれるのです。