水上での生活の憧れているけれど、船の中に住むのは少し違うと思っている人は、このタイニーハウスのコンセプトが気に入るかもしれません。
イアンのタイニーハウスは、一見してボートには見えません。
彼は以前オーストラリア、ハークスベリーで水辺の近くに住んでいました。そこである日藁ぶきの屋根をのせたボートハウスを見て、自分もあのように水に浮かぶ家で暮らしたいと思いました。
イアンは配管や大工作業などをすることができたので、デザインを建築家に頼みました。デザインを依頼するにあたってイアンが重要だと考えたのは、軽量の家であること、外見の美しさも大事であるということ、そして周りの景色を楽しめるように開放的なつくりであることでした。
イアンの希望を聞いて、建築家がこの家のデザインの元にしたのは、なんと昔の売春宿でした。水上生活についてリサーチを重ねていく中で、18世紀の日本で屋形船の中に仕切りを作っていた売春宿の構造からヒントを得て、この水上のタイニーハウスのデザインを考えたのです。
更に、日本の提灯にもデザインのヒントがありました。夜、半透明の素材から光が見える提灯のように、ゆらゆらと光るデザインにしようと計画しました。
普通の、ちょっと小さめの家が水に浮いているように見えるタイニーハウスですが、エンジンもちゃんとついており、船として動かすこともできます。
マリーナに停泊させるために払うお金や船の保険などがこのタイニーハウスに必要な経費ですが、同じサイズの家を陸上の土地に建てようとする時にかかるお金よりもずっと安くなっています。
イアンと彼の家族はこのタイニーハウスにフルタイムでずっと住んでいるわけではなく、1回の滞在で1週間から数週間の間をここで過ごしています。
この小さなスペースの良さは、家族の時間を大切にできることです。子供たちは水のそばで遊んだり泳いだり、いつもとは違う楽しい時間を過ごすことができます。
この家ではいつも子供たちの足音が聞こえるので、子どもが安全に過ごしているかすぐに分かります。
小さなスペースで家族が一緒に笑い合ったり時には喧嘩をしたりして過ごすことで、家族として過ごす時間がとても充実しています。
このことに気が付いてから、陸上にあった普通の家を、もっと小さく作り変えました。大きな家で暮らしていた時よりも、家族としての結びつきがより強くなったと感じています。
[madori]