ワンベッドルームのアパートで暮らしていたころとの最も大きな変化は生活の規模の縮小でした。私たちは8週間もの時間をかけて、モノを処分するなどしてゆっくりとダウンサイズしていきました。たっぷりとした時間でありながら、モノへの愛着があって苦労しました。全く使ったことのないものでも、いつか必要になるかも、と思ってしまうのです。
キッチンは快適に調理をしたり、じゅうぶんな収納スペースがあります。窓があるので換気もできて良いです。ラウンジには暖炉があります。不満なのはシャワーでアパートのときほど快適な使い勝手ではありません。飼い猫が河でおぼれないかというのも常に不安としてあります。
トイレはタンクにためてあとで処分する方式です。近いうちに、より管理が楽で環境にも優しいコンポストトイレにする予定です。
ボートでの生活でよかったのは二人で過ごす時間が増えたことです。自然と二人の会話の数が増えました。
二人ともロンドンでフルタイムの仕事をしているので、いまはロンドンの外れのところに停泊しています。立地的に水や電源の調達が容易であることもこの場所を選んだ理由です。
船での生活は水や電気の消費など、自分がなにを消費しているのかということにより自覚的になります。例えば、この生活を始めてスーパーの食品がいかに包装が多いかに気づくようになりました。よりモノを持たない、無駄のない生活を心掛けるようにしています。かつてほどお金を使ってモノを買うことがなくなりました。
この生活は心が解放されたような、自由な感覚になれます。ボートに住んでいるというより、広大な運河に住んでいるイメージです。ボートは暖をとったり、雨風をしのぐものです。この生活を始めてまったく後悔していません。