ブリジットがタイニーハウスでの生活で気に入っているところは、自分の手で作ったスペースの中にいられる事です。
誰かに「こうしなさい、ああしなさい」と言われることはありません。
そして多くの掃除が必要ないという楽さもタイニーハウスの良い所です。
ブリジットは以前夫と別れ、住むところを探していました。
友人の家に滞在させてもらっていたのですが、そこで古い小さな小屋を見つけました。
そして彼女はそこからタイニーハウスに住むというアイディアを思いつきました。
どこからそんな自信が湧いてきたのか分かりませんでしたが、彼女は自分の手でタイニーハウスを作る事に、これこそ自分がやるべきものだという確信のようなものがありました。
タイニーハウスを作り始めた当時、ブリジットは62歳になるところでしたが、これから何か今までとは全く違ったことを始めてみる良いチャンスだと思いました。
それから1年ほどかけて、たくさんのリサーチをし、色々な人の話を聞いたりなどして準備をし、実際の作業に着手したのですが、彼女がタイニーハウスを作り始めたと聞いた人たちの中から、タイニーハウスを載せるトレーラーを提供してくれたり、大工仕事を手伝ってくれる人を紹介してくれたりと、色々な助けが差し伸べられました。
彼女が自分の家について必要だと思う要素や好みを反映させて作ったタイニーハウスですが、作る上で一番難しかったことは「とにかく決断をしなければならない」という事でした。
建設中には、どんな材料を使うのか、どうやって使うのか、他にもこんな形があるけれどどうするか、次々と決めなければならないことが出てきました。
また、相談した建築業者ごとに意見が異なっていました。
そのため、最終的には彼女が自分の責任で決断をしなければなりませんでした。
間違った決断を怖がる気持ちを克服することが最大の難関でした。
このタイニーハウスで暮らし始めて5年ほどになります。
タイニーハウスを置いている場所代と電気代、インターネット代で毎月300ドルほどかかります。
彼女は年金を受け取っていますが、その額は最低ラインのもので、もしこれで一般的な形の家を探していたら、家賃だけで収入の2/3がなくなり、残りの1/3も食費や光熱費に消えていたでしょう。
このタイニーハウスでは、貯金をしたり好きな事に使ったりする余裕があります。
結露ができる事を避けたかったので、シャワーは家の外に作ってあります。
冬の間は、近くに住む娘の家に行ってシャワーを借りています。
もし娘がそばにいなかったとしても、ジムのスイミングプールのシャワー設備を借りる事もできるので、特に困ることはありません。
ブリジットが購入資金を出して娘の家に洗濯機を置き、シェアして共同で使っています。
このように全て自分の力だけで揃える必要がない所がシェアの良いところです。
彼女は様々なシェアがもっと広まるべきだと考えています。
シェアは、人々が上手く共生するポイントになると考えているからです。
自然環境だけでなく、自分たちの経済事情の助けにもなるでしょう。
また、水は、敷地内の母屋まで汲みに行っています。
ブリジットは子供の頃、母親と4人の兄弟と一緒に、キッチンとリビングルームの他には2ベッドルームしかない家で育ってきました。
トイレは家の外にあり、水道は通っておらず、水は村の真ん中の井戸まで汲みにいかなければなりませんでした。
洗濯は手洗いで、シャワーはなく、洗濯物と一緒に自分の体も洗っていました。
それが当時は普通の生活で、不潔だと思う事はありませんでした。
なので、今、毎日シャワーが浴びられない事や、水を外から運ばなければならない事はブリジットにとってそんな大きな問題ではありません。
娘はもちろん世代が違うので、母親に、どうして家に水道を引かないのかと言いますが、水道がある事で生じる、凍結防止や水漏れに注意したりなどの管理の方が煩わしいと感じてしまいます。
水が足りない時は、水の節約の仕方を学ぶ時でもあります。
そのようにして物事と上手く付き合う方法を学んでいけば良いのです。
ここでブリジットは野菜を育てて、保存食を作ったり、ジャムに加工して他の人に分けてあげたり、読書会に参加したり、ピアノを練習したりしています。
料理や畑仕事や趣味に時間を使い、毎週友達が訪ねてきたりなど、タイニーハウスでの生活は退屈する事がありません。