クリスとイブのカップルは、ニュージーランド・ラグランの自然豊かな美しい土地でタイニーハウスに住んでいます。
二人はそれまで住んでいた市街地の家から引っ越さなければならなくなったことをきっかけに、次に新たに一般的な家を探すのではなく、タイニーハウスという選択肢をとってみることにしました。
友人や家族の手も借りながらDIYで作りましたが、クリスは家具職人をしていたので、大工仕事は苦になりませんでした。
また、イブにとっては、タイニーハウスは単に自分の住む家を建てる以上に意味のあるものとなりました。
イブはボート競技の選手で、ニュージーランド代表としてオリンピックに出場した経験もありましたが、オリンピック後にうつ状態に陥ってしまっていました。
タイニーハウスを作るというプロジェクトは、うつで苦しんでいた彼女に新たな目標と、次にどんな事が待っているか、何をしようかというわくわくした気持ちを与えてくれました。
このプロジェクトを通して、少しずつ前に向かって動き出すモチベーションを得ることができたイブは、うつから抜け出す事ができたのです。
今は、トレーニングのために平日は他の所に住んでいますが、休日の度にこのタイニーハウスに戻って来られることを楽しみにしています。
トレーニングで競技に集中する時間と、この家でリラックスできる時間とで、ちょうど緩急のバランスが取れていると感じています。
タイニーハウスは、家や住まいに関することだけでなく、人生において目標を持ち続けることの大切さを教えてくれました。
二人のタイニーハウスの中は、大きなカウチやキッチンの他は大きく目立つもののないすっきりしたデザインになっています。
冷蔵庫や洗濯機はありますが、どれも白で統一したケースの中に収納されているので、家の中に統一感があり、空間が広く感じます。
ペット用品も収納して、使っていないときは外から見えないようになっています。
タイニーハウスでの生活を始めて1年と2ヶ月ほどですが、思っていた以上に快適でした。
この家に住む前に、タイニーハウスよりももっと小さな小屋で2、3ヶ月ほど暮らしていたので、タイニーハウスを狭く感じるどころか、逆に広い家に引っ越しした気分になれました。
この家を建てるのに、家具、家電や広いウッドデッキなど全て含めて32,000ニュージーランドドル(約250万円)ほどでしたが、これはニュージーランドでのタイニーハウスに関する費用の中ではかなり安い方です。
これは、時間をかけるかわりに中古で安く買えるものや無料でもらえるものをできるだけ集めて利用したからです。
急がずにしっかり時間をとって準備すれば、コストはその分安くできるのです。
また、多くの人が、自分たちの家でもないのに、二人を助けてくれました。たくさんの人の愛に囲まれて、家ができあがったのです。