マークは水上のタイニーハウスで暮らし始めて20年以上にもなります。彼の家は、川にドラム缶を並べて浮かせ、上に床を作って家を載せたボートハウスです。
マークは若い時にパントマイムを学び、プロのマイマーとしてショーに出ていました。今も時々パーティーのクラウンの依頼を受けたり、近所の高校で演劇を教えたりしています。
この場所に住み始めたきっかけは、マークの友人がここでボートハウスにして住んでいたからでした。ここには他にもボートハウスで生活をしている人たちが25年ほども前からいたので、小さなコミュニティがすでにありました。
彼もそれに続いてアメリカから引っ越して舟の上のタイニーハウスに住み始め、友人たちがこの土地を離れた後も、彼は友人の住んでいた舟も買い取って改装し、ずっとボートハウスで一人暮らしをしています。
彼の家は河口の近くにあるので、家から直接水上に出てカヤックに乗り、海まで出ることができます。家の周りにはマングローブが生えており、天然の生け垣のようになってプライバシーを守ることができます。ここでマークは一人の静かな暮らしを楽しんでいます。
この生活の良いところは、水の上で生活をするという楽しみと、そして二酸化炭素の排出量やその他自然環境に与える影響を少なくしようという意識が自然と芽生えることです。
マークの孫たちの世代やさらに後に生まれてくる人たちが、深刻な環境問題を抱えずに済むようにしてあげたいと思っているのです。
マークの家はソーラーパネルで電気を供給し、彼は車を持たずに電動式自転車や自分の足で歩く生活をしています。地球環境のために小さくても自分が実際に貢献できていると実感できるのは大きな喜びです。
この家を作るために65,000ドルほどかかりましたが、家が完成した以降は電気や水、薪などが自分の土地から採ったりソーラーパネルで発電したりできるので、全くお金がかかっていません。
このタイニーハウスでの生活は、“より少なくすること”の喜びを教えてくれます。
少なくするというのは、単に小さなスペースで生活するという意味だけではありません。ここでの生活を通して、身の回りに今までどれほど二酸化炭素を排出する工業製品に囲まれていたかに気がつき、更にそれらがなくても実は困らないという事実に気がつけるということです。
人生の喜びは、物から来るのではなく、自分の周りにいる人々や友人、自然に囲まれた茂みの中を散歩しているような小さな瞬間からもたらされるものです。