ロブ・グリーンフィールドは、フロリダ・オーランドにわずか1,500ドルで建てたタイニーハウスで自給自足の生活をしています。
この家での生活を始めて2年ほどになりますが、ロブはできる限りシンプルな生き方を心がけ、モノを持たないようにしています。
彼の家はわずか10平方メートル(3坪)にも満たない小ささですが、敷地には大きな菜園があります。
彼には毎月の請求書は届きませんし、車もありません。移動には自転車を使い、運転免許も持っていません。
家をデザインするにあたっては、見た目を派手で目立つものにしないようにすることを意識しました。
多くの場所でタイニーハウスはまだ合法とされていないので、地域に溶け込める外観にしたかったのです。
トレーラーに載せずに小さな小屋にしたのもその為ですが、もともと家を移動させるつもりはありませんでしたし、更にトレーラーを買うコストを節約する目的もありました。
家の材質は99%リサイクルのもので、椅子や棚もガレージセールで買いました。
エアコンはなく、断熱材も入れていませんが、この家でフロリダの夏と冬を乗り切ることができています。
キッチンとトイレ、シャワーは家の外に作り、水は雨水を利用しています。
使い終わった水は下水に流すのではなく、畑の植物に撒いています。
料理には食べ物の残りからメタンガスを発生させる装置を使っていますが、今のところはそれだけでは少し足りず、プロパンガスを使っています。
電気だけはタイニーハウスを置かせてもらっている土地の持ち主から引かせてもらっています。
食糧の貯蔵用の大きな冷凍庫と自分のパソコンを動かすためです。
以前に、ソーラーパネルを設置したオフグリッドの生活をしたこともありましたが、それと比べてみると、食料をほぼ自給自足できている今の方が、より目指している持続可能な生活に近づいていると思います。
冷凍庫に必要な電気代は月にわずか3ドルほど、その他パソコンとランプなど最低限の電力だけで、毎月の出費は10ドル以下です。
この家での生活を通して、彼自身の理想である環境に優しい生活をすることはもちろんですが、彼の生活を他の人に見てもらう事で、他の人の参考になればと思っています。
この家での生活で彼が挑戦している最大の目標は、自分の食糧を自給自足することです。
自分で畑を作って作物を育てたり、養蜂をしたり、また海水や木の実などを採ってきたりしています。
海水からは塩を作ることができ、探して採ってきたココナッツからはオイルを作りました。ほかにもハチミツ酒や酢の醸造もしています。
ロブがタイニーハウスを置いているのはある家の裏庭です。
この家の家主は環境に優しい生活を始めてみたいと考えていましたが、その為に土地や設備を整える時間や手間が取れずに裏庭が荒れてしまっていました。
そこを耕して畑を作り、雨水の貯水装置やコンポストなどを整備して、家主に収穫した作物を供給する交換条件としてロブのタイニーハウスを置かせてもらい、電気も引かせてもらっています。
ロブは環境活動家や冒険家として、これまでにも人々に環境保護を訴えるための様々な活動を行ってきました。
この家での生活を始めてみて気が付いたことは、生活をシンプルにすればするほど、自分の時間に余裕が生まれ、自分の本当にやりたい事と向き合う時間が作れるということです。
コミュニティの人々との交流も生まれ、より生活が豊かになったと感じています。
シンプルな生活をするという事は、色々なものを諦めるということなのではないかと考える人もいますが、ロブの答えはその反対なのです。
もちろん生活をしていく上での試練はありますが、それはどんなスタイルの生活をしていても同じなのではないでしょうか。
彼の生活においては、雨水がきちんと集まっているか、畑の様子はどうか、常に気を配っていなければなりません。
夏は暑くて虫に悩まされ、冬は断熱材のない家で寒さを乗り切らなければならないことも試練の一つです。
また、その時々で欲しいと思う物もありますが、そういった買い物をすることはできません。
年に5,000ドルほどの収入しかないので、自分の小さな行動にも注意しなければなりません。
ただ、瞬間的にほしいという気持ちがあってそれを叶えられなかったとしても、長い目で見ればそれで良かったのだと思う事ができます。
この家では、自分が理想としていた環境に優しい生活を実践し、同じようなライフスタイルを志す人の手本になることができます。
この生活から得られるものの大きさを考えれば、試練だと感じることも十分に乗り越える価値があると思っています。