ウィルとジェンの夫妻がニュージーランドの郊外ワナカに作った家もその一つです。
二人は、以前はもっと田舎の方に住んでいましたが、タイニーハウスに住もうと決めた時、住宅地の中にそれを作ろうと考え実行しました。
二人が住んでいるような新興の住宅地の中にタイニーハウスを建てるのはとても珍しい事です。
実際、二人もここを見つける前に色々な分譲住宅地を見てきましたが、敷地内に建てる家の大きさの下限が決められていることが多く、タイニーハウスのような小さなサイズの家を認めているところはありませんでした。
その中で、このワナカの分譲地のデベロッパーはウィルとジェンのタイニーハウスのアイデアにとても賛同してくれたのです。
二人のタイニーハウスは移動させることはなく、この場所にずっと住むための家なので一般的なタイニーハウスよりも広さがあり、また、天井の高さも出すことができました。でもやはり一般的な家と比べるととても小さく、敷地内では家よりも庭などのアウトドアスペースの方が広くなっています。
ウィルとジェンは、この先引っ越すことを考えておらずこの土地でずっと暮らすつもりなので、家の壁材や断熱材などをしっかりと選んで作りました。
彼らは突然タイニーハウスのアイデアを思いついたわけではありません。
それまでの生活の中の小さな出来事が積み重なり、最終的にタイニーハウスに住もうという決断へと結びついたのです。
その中でも特に大きかったのが、何年か前にオーストラリアを自転車で旅したことでした。自転車で旅行をする人は皆、どうにかして荷物を小さくしようと試行錯誤します。身の回りのものや着替えなど、自分が旅行に必要なすべての物を自転車に積まなければいけないからです。
二人も、自分たちの荷物を減らそうと色々と工夫しました。荷物の体積や重さを少しでも減らす為にハブラシの柄を半分の長さに切ったりもしました。
このような究極のミニマリズムともいえるものを体験した事で、二人は改めてミニマリストの生活をしてみようと考えるようになったのです。
そこで、それまで住んでいた家や土地を売り、新たな場所に引っ越してタイニーハウスを建てました。
タイニーハウスを作るにあたって、タイニーハウスのコンセプトとは正反対とも言える場所、つまり皆が大きな家に住むことを目指すような場所に作ってみようと考えました。そこからこの住宅地の中にタイニーハウスが作られたのです。
家の断熱や保温性などをしっかり計算して作られたタイニーハウスはとても快適で、仕事から帰ってきた時はとても安らぎを感じます。
それと同時に小さな秘密基地のような家での生活は、毎日が休日のようなわくわくした気持ちで過ごすことができます。美しい山や湖に囲まれたこの土地での生活をとても楽しんでいるのです。