彼は今はニュージーランドでパーマカルチャーの農場を営んでいます。ここでは朝起きて外に出ればすぐそこには自然があります。今はかつての空虚な気持ちはなくなり、大きく満ち足りた気持ちがあります。
アンドリューは以前はオーストラリアで金融関係の仕事につき、日々顧客から預かった何百億ドルものお金を扱っていました。自分の仕事は何か有益なものにつながるものだと考えていましたし、実際に仕事は上手くいっていて土地やその他さまざまなものを買うお金を彼にもたらしてくれました。
でもアンドリューは物質主義の世界に引きずり込まれそうな感じに戸惑っていました。周りにいる人は皆資産を増やしたがっていて、更に次から次へと様々なものを欲しがりました。そしてそんな消費主義、物質主義の空気は周りへと伝染していくものです。
アンドリューのバックグラウンドはそんな人々とは違っていました。彼は保守的な家庭で育ってきたのですが、突然そんな高級車に乗り郊外の高級住宅地に住み物質主義の世界に生きる人々のただ中に引き込まれたのです。彼らは物質主義の世界のシステムに囚われているのです。余分なお金があった方が幸せであり、もっとお金があればもっと幸せになれると信じているのです。
会社で働いている毎日の中では、自分の生活やその他にしなければならないことで忙しく、そこから抜け出すことは難しいものです。アンドリューと妻のベスも物に溢れ次々に何かを手に入れては次の物を探さなければならない生活に囚われそうになっていました。
そこで二人は今までのものと離れようと決めたのです。最初から新しく生活をやり直そうと考えました。
ニュージーランドには過去に何度も訪れていて、新しい生活を始めるのに良いところだと思いました。そこで色々と引っ越すためにリサーチをしていく過程で、この社会や地球は、環境について大局的な問題を抱えていることに気がついたのです。
社会はもっと持続可能なモデルを探さなければいけないと感じました。アンドリューは農園での仕事の他にブログを書き、本も執筆しました。その中で社会の脆弱性の評価と呼ばれるものについて書いたり、コミュニティーグループや自治体と話し合ったりしています。
オイルショックや資源の枯渇などエネルギー問題は以前から提起されていましたが、人間の社会について、個々の分野の区切られた問題ではなく、もっと包括的なアプローチが必要だと考えるようになりました。
その中で、パーマカルチャーというのは一つの答えになると気が付きました。食物、環境とそれに伴うライフスタイル、人々がお互いに対しての、またこの地球に対しての思いやり、天然資源、そういった問題を全体的に解決し社会が前進するために必要な答えを示してくれていると考えています。
アンドリューの現在の生活では、スーパーマーケットに行く必要がありません。今の生活では、いつも気分良く過ごすことができ、自由を感じます。以前のように苦痛を感じることもなく、自分が生き生きしていると感じることが出来ます。