未登記建物でも、住民票は発行できるの?

投稿日:2018年8月3日 更新日:

「普通に毎日生活して、郵便も宅配便も届いていたので、建物が未登記なのに気づかなかった」ということがあります。

なぜでしょうか?

それは、「住所が付されること」と「登記」は別のものだからです。

住所とは?

住所とは、人の「生活の拠点」のことです。
生活の拠点とは、一般的に「その場所から仕事や学校に行き、戻ってくる、郵便物や宅配便が届く等、日常生活を送る場所」を意味します。
会社や事業所だと、住所は「経済活動や事業を営む拠点」。住所は、家やマンション、オフィスビル等建物に付されます。
 

建物に住所はどうやって付されるの?

新築の建物を例にしてご説明します。

1.建物が新築されると、自治体の「住居表示係」や「建築指導課」などに「住居表示の申し出」や「新築家屋の届け出」を行います。

建物が完成すれば登記していなくても、この申し出や届け出は行えます。

※届け出る係や課、申し出や届け出の名称は、自治体によって異なります。

届け出や申し出の際には、
・住宅地図
・位置図(敷地の中に建物がどう建っているか)
・建物平面図
などを資料として提出しますが、この提出書類も自治体によって異なります。

2.自治体が、提出された書類に基づいて、実際に現地で建物を調査して住所を決定します。

これで、建物に住所が付されたことになります。

※同じ敷地内に建て替える場合でも、玄関の位置等によって建て替え前の住所と異なる住所が付されることもあります。

3.調査の後、自治体から「住所決定のお知らせ」が来ます。

 ※住所決定のお知らせが来るまでの期間も、自治体によって数日~数週間と異なります。

住所決定の通知が来ると、通知された住所で住民登録ができますし、各種の届け出等にも住所として記載、使用できます。住民登録ができれば、住民票も発行されますし、実印も登録できる等住民サービスが受けられるようになります。建物が未登記でも問題ありません。

【注意】
法務局で管理されている土地の「地番」がそのまま住所として使用されるので、新築家屋の届け出や申し出自体必要ない、という自治体や地域もあります。地番と別に住所が付される自治体や地域か、という確認も必要です。

登記は、「所有権」を公示する制度

登記は、不動産の「所有者」が誰であるかを公示する制度なので、住所や住民登録とは関係がありません。

住所が付されて住民登録していても、そこに長く住んでいても、「所有者」として登記がされていなくては、建物の所有者であることの証明はできません。
未登記でも日常生活に支障をきたすことはほとんどない、と言ってもよいですが、「所有者であることを証明」するには、「登記」が必要です。

[madori]

-カテゴリー: 登記

執筆者:

関連記事

不動産の登記

不動産(建物や土地)の登記はしなくてはいけないの?

不動産の登記には「表題登記(表示登記)」と「所有権保存登記」の2種類があります。 そのうち、「表題登記」は不動産登記法で1ヶ月以内に行うことが定められています。 第四十七条 新築した建物又は区分建物以 …

特定用途制限地区とは

特定用途制限地域とは?

特定用途制限地域とは? 特定用途制限地域は「用途地域の定められていない地域で規制を指定できる地域」のことです。 都市計画法第九条には下記のように定義されています。 用途地域が定められていない土地の区域 …

ハウスメーカーの値下げ交渉は可能?

ハウスメーカーや工務店で値下げ交渉は可能?値引きできるポイントは?

結論から言うと、「値下げ交渉は可能」です。 今回は値下げしやすいポイントをご紹介していきます。 目次1 値下げ交渉できるポイント1.1 複数社の見積りを比較して値下げポイントを探そう1.2 削れる部分 …

私道負担とはデメリットは

私道負担とは?私道負担のデメリットは?

目次1 私道負担とは2 私道負担の確認方法3 私道負担について知っておくべき知識3.1 私道負担面積は自由に使える土地ではない3.2 私道負担面積は容積率や建ぺい率の敷地面積に含まれない3.3 私道負 …