ジェームスとブレーリンのカップルは、カナダ・オンタリオ州で自分たちでデザインし、作ったタイニーハウスに住んでいます。
二人は、人は誰でも水を飲む事と同じくらい当たり前の事として、自分自身の安全基地を持つべきであると考えています。
人間には自分の理想とするライフスタイルを選び取る権利があると考えているからです。
そんな二人が都会での高い不動産価格を追いかける生活をやめて始めたのが、このタイニーハウスでの生活でした。
家の中はブレーリンが好きな場所である、ギリシャ・ミコノス島をテーマにデザインされており、壁やインテリアは白で統一しています。
床には島の石畳をペイントで再現し、天井には緑の植物をあしらって、ミコノス島の街角にいるような気分にさせてくれます。
この家には大きなロフトが二つ作ってあり、片方は二人の寝室として、もう片方は本を読んだり映画を観たりして、くつろぐためのスペースとして使っています。
寝室のロフトは休むためなのでムーンロフト、それに対してリラックススペースのロフトは活動に使うという意味でサン(太陽)ロフトと呼んでいます。
この家は断熱をしっかりしているため冬の間は温かく過ごすことができ、またたくさんの窓をつけているため、夏も扇風機が必要になった日は数えるほどでした。
このタイニーハウスには大小合わせて十三の窓と、二つの大きなドアがついていますが、これは閉所恐怖症を持っているブレーリンが、狭いところに閉じ込められているという気分を感じないようにするためでもあります。
ロフト同士を繋ぐ通路の壁にも、窓の他に鏡をつけ、開放感が感じられる工夫がしてあります。
タイニーハウスに引っ越す前はトロントの市内で家を借りていましたが、まるで高い家賃を払うためだけに、好きでも楽しくもない仕事をしているような生活でした。
トロントでの家賃は年々上がり続け、これ以上は無理と感じたのと、息子に何も残すことができないと思ったことをきっかけに、タイニーハウスに住んでみようと決めました。
タイニーハウスでの生活を始めてからは、それまで抱えていた学生ローンを完済し、自分でビジネスを立ち上げる事ができるようになりました。
タイニーハウスへの引っ越しを計画し始めた当初は全くお金がなかったので、まずは自分たちの作りたいタイニーハウスを小さな模型で作って細かいデザインやプランを考え、それを実際に建てるためのリサーチを重ねました。
幸運なことにジェームスの長年の友人夫妻が屋根付きの作業場を無料で貸してくれて、二人はそこでタイニーハウスを作ることができました。
その友人夫妻は鉱物やクリスタルのコレクターをしており、ジェームスとブレーリンはそのコレクションを加工してアクセサリーなどを作って販売するショップを開いています。
友人夫妻は、場所を貸すだけでなく大工仕事も手伝ってくれました。
二人は現在、このタイニーハウスを落ち着いて設置することができる土地を探しています。
カナダ・オンタリオでは、自治体に組み込まれている町区においては、タイニーハウスを、一時的にではなくずっとそこに住む正式な住居という形では認めていません。
ただ、自治体に属していない土地であればタイニーハウスに住むことは合法とされているので、今はそのような土地で良い所をリサーチしている最中です。
タイニーハウスを作るためにかかった費用は60,000カナダドル(約500万円)ほどでした。
多くの幸運に恵まれてこの家を作ることができたと考えていますが、二人とも家作りを始める前に、実際のタイニーハウスをどんなものにするか多くの想像力を巡らせて細かく模型を作ったり、貯金したりと用意をじっくりと進めていました。
実際に計画を実行する段階になった時には、色々なものがすでにきちんと準備できている状態になっていました。
自分たちの手で実現させたこのタイニーハウスをとても誇らしく思っています。