今は様々なコンセプトのタイニーハウスが建てられていますが、タイニーハウスは、元々は少ない予算でも自分の家を持つことができるというところからスタートしました。
オーストラリア・メルボルン郊外に住むジェシーのタイニーハウスもそのような原点に立ち返って作られた家です。
ジェシーはもともとリサイクル材を使ってDIYで建てることができて、更に持続可能な家となり得るという点で、タイニーハウスに興味を持っていました。
実際にタイニーハウスを作る建築業者として働いていた彼ですが、仕事場の上司が数か月海外に出かけてその間スケジュールが空くことになり、このタイミングで以前から興味のあったタイニーハウスを自分の為に作ってみようと考えたのです。
ジェシーのタイニーハウスは、古いフェンスの杭を再利用した木材を外壁に使っています。
フェンスの杭は時期が来たら新しいものと交換されて捨てられてしまうものなので、無料で業者から譲り受けることができました。
廃棄されるものなので、汚れや表面の傷があったり大きさがバラバラだったりしますが、一つずつ根気よく加工すれば立派な建材になるのです。
彼はこの古いフェンスの杭を、壁だけでなく室内の家具にも利用しています。
杭の加工には時間と手間がかかるので、その部分を友人やボランティアに助けてもらったりしましたが、あとはジェシーが自分の手で全て作り上げました。
ジェシーの父は自然保護官をしており、その関係で彼は子供の頃、国立公園内にあるレンジャーが寝泊まりする小屋で過ごしたこともありました。
木で覆われているようなこのタイニーハウスは、そのようなジェシーの子どもの頃の思い出を蘇らせてくれます。
現在タイニーハウスが載ったトレーラーを停めている場所は、広い農場の敷地内です。
この土地では農場の他にタイニーハウスを作る会社も経営しており、この会社から仕事のオファーを受けたジェシーは前の仕事を辞めて、家ごとここに引っ越してきたのです。
電線や水道を引かない100%オフグリッドの家なので、将来引っ越すときも、電源や水道の確保を気にせずに、許可される場所ならどこにでも行くことができます。
電気はソーラーパネルで発電し、水は雨水を貯めています。
ジェシーはタイニーハウスに住む前は、バンの中で2年ほど生活していたので、バンからタイニーハウスへの引っ越しは家のサイズを大幅にアップグレードしたことになります。
オープンコンセプトで作られたこのタイニーハウスの中ではゆったりとくつろぐことができ、仕事の後はシャワーで一日の疲れを洗い流すこともできて大変気に入っています。
何より、自分自身の手で自分の家を作ったという大きな達成感は何にも代えがたいものです。