「憧れの注文住宅を建てよう!」と決意し、情報収集を始めたとき最初にぶつかるのが「コスト」の壁。
ハウスメーカーの坪単価は安いところで30万円から、大手だと80~90万円と、目を疑いたくなるような値段設定にびっくりすることでしょう。
しかし大手ハウスメーカーの場合、一坪80~90万といっても建具・照明器具・その他設備全てをひっくるめた金額であり、例え一坪30万の安いハウスメーカーでも+αでコストがかかることを織り込めば、一概に坪単価が低い=安いという判断基準にはならないのです。
私も2014年に大手ハウスメーカーで新築を建てましたが、引き渡し時までにかかった費用をまとめると坪単価は75万円でした。大手ハウスメーカーの坪単価75万円は、安いほうだと思います。
実際に私自身が行った、ローコストにするためのノウハウをご紹介します。
税理士事務所勤務で、経営者の方に節税対策の案内や、税金申告関係の業務を行う。
目次
[madori]
見積書が出来た時点で値引き交渉は難しい
基本的に見積りが出揃った後での値引き交渉は、どこのハウスメーカーでも難しいと思います。
私も積水ハウスとヘーベルハウスの2社競合をかけましたが、費用見積後の値引きはムリでした。
というのも、これら2社とも費用見積を行う部署は窓口である営業担当ではなく、別部署が対応します。
見積書を作成してもらうまで、自分の希望する住宅がいかほどの値段になるかは営業担当でも分からないと言われました。
ですから一般的にどこのハウスメーカーも、費用見積が出てしまったら、あとはそれに対して「契約を締結するか」、「お断りするか」の二択だと思っておいたほうが良いでしょう。
見積前にできる、注文住宅を安く建てるポイント
見積書が出来た後では値引き交渉は難しいことはお伝えしましたが、だからといって注文住宅を安く作るすべが全くないわけではありません。
見積書作成前にできる、安く作る方法についていくつか紹介したいと思います。
営業担当に相談する
注文住宅を安く作りたいのであれば、まずは営業担当に「少しでも安く作りたい」という意思を伝えましょう。
見積書作成後の値引きは難しいですが、営業担当に捻出できる予算をはっきり伝えることで、的確なアドバイスを受けることが出来ます。
注文住宅を建てる時、どうしても自分の理想を全面にだしてしまいがちですが、理想ありきで話をすると、価格は天井を知らずどんどん高くなっていくので、まずは予算を伝えてそこからやれること、やれないことを精査していくことが安く建てるコツでしょう。
ハウスメーカーの紹介割引制度を利用する
注文住宅を建てようと思ったら、まずは住宅関係の仕事をしている人を探してみましょう。
知人を探すというのは、難易度が高いと思いがちですが、探そうと思えば案外簡単にハウスメーカー勤務の方と繋がることが出来ます。
私は友達が少ないほうですが、職場で「家を建てようと思っているんだよね~」と雑談したところ、数人から「私の友達が(もしくは身内が)〇〇ハウスにいるよ、声をかけてくれたら安くするって言ってたよ~」という提案を頂きました。
1人だけではなく、3人ほど声をかけてくださった人がいたので、意外にツテはあるものだなぁと感心したことを覚えています。
そして実際にその中の1人の方から、大手ハウスメーカーの下請会社勤務の方を紹介してもらい(基礎工事を請け負っている方でした)、そこからさらに2人ほど介し、最終的には支店長まで繋がりました。
この敏腕営業マンのアドバイス+紹介割引+営業力で、安いながらに良い注文住宅を建てることが出来たので、今でも感謝しています。
相見積もりをとる
一般的な値引き方法として、相見積もりをとるという方法も効果があります。特に同じ土俵で戦っている企業同士で競わせると、地味に効果があるようです。
例えば木造住宅であれば、住友林業と三井ホームとか、鉄骨住宅であればやはり積水ハウスとヘーベルハウスだとか、ライバル視しているところをぶつけると良いと思います。
契約締結時の交渉
見積金額が出揃えば、そこから値引きは難しいですが、値段据え置きで見積対象となっている設備をグレードアップすることなら可能です。
見積書をもらって、そのハウスメーカーに家を建てるか否かの返事をする時。ここに営業担当のスキが出来ます!そこで私は次のような交渉を持ち掛けました。
- リビングと和室の間を壁でなくて、おしゃれなスライディングウォールにしてほしい
- システムキッチンの食洗器を、浅型から深型のミスト洗浄付きにしてほしい
- TVアンテナをつけてほしい
- キッチンのIHパネルをガラスパネルにしてほしい
- 2Fにもお湯を引いてほしい
- 家が完成したら、家の模型がほしい
これら6つをサービスでつけてほしいとお願いしたところ、契約を決めてくれるならと営業担当も快諾。約50万くらいでしょうか、サービスしてもらえました。
会社の手前、あからさまな値引きは出来ないようですが、私の場合、設備のグレードアップという方法で、実質値引きに対応してもらえました。
もちろんどれほどのサービスが出来るかは営業担当の力もあると思うので、個人差はあると思います。しかし営業担当に家を建てるか否かの返事をする時が、一番わがままを聞いてもらえるときなので、遠慮せずにダメ元で交渉してみましょう。
契約締結後からのコストダウン
契約締結が終われば、設計担当者と家造りの打ち合わせに入ります。ここから先はコストダウンとの闘いです。あれも欲しいこれも欲しいと要望を言えば、何でもつけてくれますが、どんどんコストが上がっていくので注意しましょう。
少しでも安く建てたいと思う反面、注文住宅という方法を選んだ以上、絶対に外せない要望というのもあると思います。
建物の内装や間取りを調整すればいくらでもコストダウンに繋がりますが、やみくもにコストダウンに走ることはおすすめしません。
この世の買い物で、注文住宅という一番高い買い物をするのですから、いるものといらないものをしっかりと見極めつつ、コストダウンを図ってください。
内装や設備を見直してコストダウン
初期見積書には、標準的な設備で家を建てた場合で作成されています。ここからグレードダウンできるものはどんどんランクをさげていきましょう。
内装や設備のグレードダウンを図るなら、狙いは2階、もしくは自分たちの寝室など人目に触れる機会がない場所がおススメです。
そしてグレードダウンで浮いたお金で、リビングや1階、フローリング材のグレードアップに回すのも良いと思います。
契約前のサービスを一部ノーマル品に戻す
私が実際に行ったグレードダウンの方法ですが、担当営業に家をお任せするか否かのお返事をする際に取り付けた5つのグレードアップのうち、2つをノーマルへ戻しました!
おしゃれなスライディングウォールをやめて普通の壁にしてもらい、TVアンテナをやめてフレッツ光をひくことにしました。
スライディングウォールが確か30万くらいで、TVアンテナが5~6万でしたので、壁代と相殺しても30万円くらい実質値引きとなったわけです。
このように契約前のグレードアップの約束は、後日の値引きとなって返ってきますので、可能なかぎり、しっかり取り付けておきたいですね!
システムキッチンでコストダウン
注文住宅の内装設備で一番のコストとなるのが、システムキッチンです。
大手ハウスメーカーの見積書の場合、結構良いキッチンが入っているので、予算を抑えたいのであればグレードを落としてみても良いかもしれません。
- IHをガスに変更
- 食洗器を深型から浅型へ変更
- カップボードのグレードを落とす
このようにいくつか選択肢があるので、必要に応じてグレードアップ・ダウンを上手に調整するのもコツ。
あとは各ハウスメーカーによって、強いキッチンメーカーというのがあるので、どこのキッチンであれば値引き率がいいかも営業担当に確認したいですね。
ハウスメーカーと懇意にしているキッチンメーカーであれば、値引き率も期待出来ますし、成約することでワークトップを無償グレードアップしてくれたり、排水口をグレードアップにしてくれたりします。
私の場合は、上記グレードアップ以外にキッチン周りの備品(キッチンペーパー収納、小物かけフック、包丁収納)をサービスしてもらえました。
内覧会に申し込む
大手ハウスメーカーでよくやっているイベントに「完成前の内覧会」というものがあります。
建物が完成後引き渡し前に、ハウスメーカー主催でこれから家を建てたい方を招待し、建物内部を見てもらうわけです。
このイベントに協力することで謝礼として、いくらかもらえるので、建物と相殺すれば実質値引きとなります。
新築の家を、不特定多数の方に見せるので、内覧会を嫌がるオーナーさんもいますが、内覧会で新築が傷つくことがないよう、営業の方々が細心の注意を払ってくれますので「安くなるなら全然OK!」というのであれば、是非とも利用して欲しいシステムです。
ただしこの内覧会は、新築の家ならどこでも申し込めるわけではないようで、例えば我が家の場合は、内覧会の話すら来ませんでした。
1円でも安くしたかったので、内心内覧会に出したかったのですが、私が家を建てたところは辺境の地といいますか、周りが一面野菜畑に囲まれている、あまり人が住んでいない地域だったので、きっと集客が見込めないと判断されたのでしょう。
たしかに我が家で内覧会をしても、隣近所のじじばばくらいしか立ち寄らないと思うので、仕方ないですね。
外構工事は地元業者に頼む
注文住宅で家を建てる場合、建物以外に駐車場も折り込んで土地を用意すると思いますが、その駐車スペースにコンクリを打つ工事や、門扉などの外構工事も必要になります。
例え門扉を用意しなくても、駐車スペースにコンクリを打つだけでも、大手ハウスメーカーにお願いすると150~200万円はとられてしまいます。
ハウスメーカーのコンクリ打ちとか結構高いので、これに門扉などをつければ300~400万円建物代とは別にかかるハメになります。
しかし高いからといって、新築なのに建物以外は土むき出しというのもさすがに嫌ですよね・・・。
少しでも安くしたいと考えるなら、外構はハウスメーカーではなく地元の外構工事を請け負っている業者に頼むとよいでしょう。
外構業者を自分で見つける手間はかかりますが、ハウスメーカーと比べると100万近く安上がりに出来たという話も聞いたことがあるので、かなりのコストダウンが期待できると思います。
住宅を維持する費用も見落とさない
注文住宅の場合、家を建てて「ハイおしまい!」というわけではありません。注文住宅、建売住宅共にメンテナンス費は絶対にかかる費用として覚悟しておきましょう。
一般的には外壁や屋根は10年に1回塗装が必要ですし、内装に関してもリビングの引き戸などよく使う場所は、戸車が割れるなど3~4年を境に故障が目立つようになってきます。
そうなった場合、外壁の塗りなおしは足場を組む必要があるので、1回に100万単位の出費が必要になるでしょうし、カスタマーサポートが充実していない工務店やハウスメーカーなどは、引き戸一つの調整でも出張費などの費用が掛かります。
大手ハウスメーカーの場合、カスタマーサービスが充実しているので、サービスマンが対応できるものは、無償で調整してくれますし、外壁の塗装も長ければ20年以上塗りなおし不要のところもあります。
この記事の冒頭にもお伝えしましたが、住宅の安さは決して一坪当たりの単価ではなく、ランニングコストまで見通した上で試算することがとても大切なのです。
まとめ
以上、ご紹介してきたように、注文住宅はやみくもに安くすればいいというものでもはありません。憧れの注文住宅、安く建てるポイントは大きく分けて6つ。
- 営業担当に相談する
- 契約前に見積金額内で設備のグレードアップ交渉する
- 内装設備を見直し、必要なものと不要なものを切り分ける
- 内覧会に参加する
- 外構工事は地元の業者に依頼する
- 建てる費用ばかりでなく、建てた後のランニングコストも試算する
これら6つに、可能であれば「ハウスメーカーへのツテ」があれば、もう少し価格交渉も有利になると思います。
注文住宅は一生に一度の贅沢な買い物です。コストばかりに気を取られず、グレードダウンで浮いたお金を自分のこだわりに回すなど、完成した後に「よかったな!」と思える住宅つくりを目指しましょう。
[madori]