タイニーハウスはその家ごとに十人十色の特徴を持っています。ニュージーランド・ウェリントンにあるジェイクとエリンのタイニーハウスも、彼らだけのユニークな家です。
二人は、タイニーハウスについての動画をYouTubeで見て興味を持つようになり、自分たちもそれにチャレンジしてみようかと思うようになりました。
エリンは建築技師をしており、インテリアデザインに関する知識もあったことから、自分たちのタイニーハウスをデザインしてみるという試みはとてもやりがいのあるものだと考えたからです。
タイニーハウスを置いている場所は、インターネットを通じて見つけました。
ニュージーランドでは、タイニーハウスに住んでいる人と、そのような人たちに土地を貸してもいいという不動産の所有者を結びつけるオンラインサービスがあり、二人もそこから現在の場所を借りることができました。
この家のデザインは、様々な微調整を繰り返しながら、およそ1年かけて決めました。
どんな小さなスペースも無駄にしないように空間の使い方を徹底的に計算し、自分たちの生活に必要なものは何かということを熟考しました。
自分たちがタイニーハウスに求めるものを全て書き出し、エリンのこれまで培った知識や技術を全て注ぎ込んでデザインしたタイニーハウスです。
また、ジェイクは建築に関する知識は持っていませんでしたが、その分、型にはまらないクリエイティブなアイディアを考え付くことができ、エリンの技術的な観点とちょうどバランスよく組み合わさることができました。
二人の好みを活かしたタイニーハウスは、自然の木の風合いを活かしたデザインになっています。
タイニーハウスだからと言ってリビングを狭いスペースに押し込めるのは嫌だったので、タイニーハウスでは珍しい大きなカウチを置いてゆったりした空間を作りました。
収納を工夫したり天井を高く取ったりしているので、他の空間が削られて狭くなったという印象を受けることもありません。
ダイニングテーブルも収納式にして普段は壁の一部になっているので、部屋の中はすっきりとしています。
また、この家の一番の特徴は、ロフトにシアタースペースを作っているところです。
映画の業界で働いているジェイクにとって、映画鑑賞は趣味と実益を兼ねたとても大切なことだったので生活に不可欠かという点からは少し外れてはいますが、この家には必要な要素でした。
二人ともベッドに横になってテレビを観る事は好まなかったので、ロフトにある寝室とは別に区切られたスペースを設けて、大型のテレビとソファを置きました。
窓が天井と壁の二ヶ所についているので、ここでも窮屈だと感じることなく寛ぐことができます。
このタイニーハウスに住み始めてもうすぐ1年になります。
二人は何年も一緒に暮らしていますが、以前の住まいと比べて家の手入れは格段に楽になりました。
また、小さな家で互いに衝突することもなく、むしろ二人の距離が近くなったと感じています。
自分の家をゼロからデザインして作り上げるということは、時には非現実的に感じられるものです。
二人も、図面を広げたり模型を作ったりと、これまで経てきた様々なプロセスが今となっては現実ではないような感じを覚えることもありますが、今こうして自分たちの家を手にしています。
毎朝目覚めて、自分たちの手で作り上げた家の隅々までを目にする時、本当に格別な気分を味わえる空間です。