クリスが主催するNGOは、スペイン・イビサ島でCasita Verde(カシータベルデ)というパーマカルチャーやエコロジーを実践する施設を運営しています。
幼いころからゴミ問題や環境破壊に興味を持ち、心を痛めていたクリスは、1985年に船員としてイビサに来ました。
リゾートとして人気のこの場所でもやはり地球上の他の場所と同じようなゴミや環境破壊の問題があることを知り、まずはビーチの清掃などに取り組み始め、その後1993年にこのカシータベルデを作りました。
カシータベルデは、この地球をみんなが住みよい場所にするというコンセプトで建設されました。観光のためだけの施設ではなく、実際にオフグリッドや環境問題に興味のある人が誰でも、パーマカルチャーやエコな生活を実践に移すことができるように開かれた場所です。
自然環境の中では、無駄に捨てられるものはありません。動物も植物もすべてのものが、何らかの受け渡しを行い、互いに役立っています。
カシータベルデでは、ゴミの中から集められた素材を使って家や、家具などに再利用しています。空き瓶のゴミも、家の壁材に利用できるのです。
太陽熱や風力によって発電し、雨水を集めて再利用したり、食べ物の残りや排泄物などもただのゴミではなく肥料などに変わったりと、全てのものが次へと循環していきます。
リサイクルの材料を活かした家作りは、マイケル・レイノルズという建築家がアメリカに作った、Earthship(アースシップ)というオフグリッドライフのプロジェクトを参考にして進められました。
地球に負荷をかけることなく、自然エネルギーによって支えられたライフスタイルは、エネルギーを消費して終わるのではなく循環させることで、持続可能な地球環境を目指します。
カシータベルデでは様々なオフグリッドライフを実践しており、まだ作っている途中のタイニーハウスやエコトイレなど新しい試みがたくさんあります。
私たちが今のままの生活を続けて、社会を発展させていく事には限界があります。
現代社会がこのまま広がり続け、全ての人が個々の家で電気を使い、電化製品を使い、再利用することなく水を使い続けていったら、いつか資源が足りなくなる時が来るでしょう。
カシータベルデで実践しているのは、個々の小さな社会ではなく地球という大きな単位の中でうまく共存していくための方法なのです。
自分の食べ物がどこから来るのか、洗濯や食器を洗うための水はどこから来ているのか、そして、使った後それはどこに行くのか、自分たちの生活について見直してみることが必要です。