Tiny Digs(タイニーディグス)はタイニーハウスに泊まれるホテルです。オレゴン州ポートランドの中心部に、タイニーハウスが集まったホテルがあるのです。
今回はこのホテルと、その中の最新のタイニーハウスをご紹介します。
パムはこのタイニーディグスホテルの経営者です。彼女がこのホテルを始めた背景には、タイニーハウスムーブメントへの賛同がありました。
タイニーハウスという選択肢をもっと一般に広めていくにあたって、実際に様々なタイプのタイニーハウスを見て、そこに泊まるという体験ができれば、よりタイニーハウスは手を伸ばしやすい存在になると考えたのです。
彼女は最初、タイニーハウスのコミュニティを築きたいと思っていました。でもそのためのリサーチを重ねていくうちに、地域の地区制や建築の規定などクリアするために整備しなければならない部分がたくさんあり、アメリカ全土で広く受け入れられるにはまだまだ遠い道のりだといういことがわかりました。
5年も6年もそのための時間を待っていたくないと考えたパムは、タイニーハウスでホテルを始めました。タイニーディグスホテルの全ての部屋(タイニーハウス)はそれぞれ異なったデザインになっています。
人によって生活の条件や気に入るデザインは様々です。ロフト付きが欲しい人、家の中に階段を作りたくない人など、いろいろな人のニーズに合わせたタイニーハウスを提案して見せることによって、タイニーハウスを建てることを検討している人たちが一歩踏み出しやすくなると考えています。
そんなホテルに新たに加わったのは鉄道の古い乗務員車両のタイニーハウスです。技術の進歩で現在は必要なくなってしまった乗務員車両を改装したのです。幼い時に父をなくしたパムの父親代わりとなってくれた大好きな祖父は、大の鉄道好きでした。祖父から鉄道模型を見せてもらったりいろいろな話を聞いてきたパムは、古い乗務員車両をつかったタイニーハウスを作ったのです。
インテリアにも昔鉄道で使われていたビンテージの小物をたくさん配置しました。鉄道に関してだけではなく、自分でビジネスを立ち上げようとしたということについても、若い時に自営業をしていた祖父からの影響を受けていると考えています。パムと祖父との思い出がつまったタイニーハウスです。
今まで、自分のタイニーハウスを建てたいと思っている人、タイニーハウスに関連したビジネスを考えている人、とりあえずタイニーハウスのホテルに泊まってみたい人、さまざまな人がこのホテルを訪れ、それぞれに新しいアイディアを得て多くがタイニーハウスでの経験に満足して帰っていきました。
ホテルの部屋として提供されているタイニーハウスですが、単にホテルの一室というわけでななく、そこにはパムの祖父との思い出やこれまでの彼女の歴史がつまった、とても個性的なものです。
これはホテルを経営するというだけではなく、タイニーハウスでの生活が地域社会においてどのように機能していくかという実験でもあるのです。