働き方

放浪書房の小商い 〜タイムアドベンチャーレコード〜

投稿日:

本の人力移動販売を行う「放浪書房」は関連する小商いを複数行うことで稼ぎを作っています。それらの小商いについて知ると、今の放浪書房の状況や、放浪書房の想いの部分が伝わると思います。

第1回:旅する本屋「放浪書房」の始まり〜革のトランク1個を買って始めた〜
第2回:放浪書房の小商い 〜タイムアドベンチャーレコード〜
第3回以降は公開次第追加

放浪書房以外の事業について

ー 放浪書房の他にはどのようなことをやっているのですか?

とみー:
放浪書房の他に、主に4つの小商いを組み合わせることで、なんとか生きています。(笑)

その商いは、「タイムアドベンチャーレコード」「放浪工房」「語り商い」「小商いイベント・小商い空間プロデュース」の4つです。

僕の考える、小商いを飽きずに続けるコツに「3点確保」(クライミング用語:理論上絶対に滑落しない状態)というのがあります。最初は放浪書房を含め3点(3つの小商い)だったけど、気付いたら5点になっていました。笑

最初の頃は放浪書房は「本業」(本屋だけに)で、他は「福業」(副業)なんて言ってたりしてたけど、全然畑違いの商いをしている訳でなく、全てが放浪書房から派生しているし、自分の好きなこと、興味があることを小さく楽しく商いにしています。

だから、どこかで繋がっているんです。

放浪書房をきっかけで、他の商いのお声がかかることもあるし、その逆もあります。一つの場所、一人の人が、異なる商いで何回も呼んでくれたりもします。

お客さんも飽きないのはもちろん、自分自身も常に新鮮な気持ちで商い出来ています。それに、別の商いをしている時に他の商いのヒントが見つかったりします。

ざっくり括って、一つの名前でやるよりかは、細分化してとことんニッチに行く事で可能性が広がる気がします。

タイムアドベンチャーレコードについて

ータイムアドベンチャーレコードはどのようなものですか?

アンティークの紙ものを販売しています。昔のアメリカの雑誌に掲載されていた企業広告をポスター (アドレコード)として販売したり、コラージュ用のシール(アドコラージュシール)に加工しています。シールは全て当時の実物。手作りの一点ものです。

放浪書房-タイムアドべンチャーレコード
放浪書房-タイムアドべンチャーレコード
放浪書房-タイムアドベンチャーレコード
ータイムアドベンチャーレコードを始めたきっかけは何ですか?

看板の学校に通って勉強したのをきっかけに、アメリカの古い広告が好きになり、元々自分で集めていたんです。半端ない数になった時に、東急ハンズさんから「ポスターとして売ってみない?」と言われて始めました。(当時、梅田店に放浪書房大阪店があったとのこと)

最初はポスターだけ売ってたのですが、当時コラージュとかスクラップブックが流行っていたのと、自分もコラージュに興味があって。

コラージュの教本買ったら「洋書を用意しろ」なんて書いてあるんです。普通の人はなかなか手に入れにくい。それに、「コラージュ=女性」というイメージもあり、男性が参戦しにくい。

それなら、誰でも簡単に可愛くカッコいいコラージュ作品を作れるシールを作ろう!って。それが、「アドコラージュシール」のきっかけです。

本当は「オトコラージュシール」って名前にしたかったんだけど、ハンズの担当者にダメ出しくらいました。笑 「マンガの“魁 男塾 ”みたいで汗臭いからダメ!!って」笑

最初500枚くらいは作ったかな。バイキング形式で販売したら思いのほか大好評で。

今は大体4,000枚程並べて売っています。

放浪書房-タイムアドベンチャーレコード
放浪書房-タイムアドベンチャーレコード

放浪書房で旅に出れない時、たとえば、梅雨時期や冬などにシールを作っています。今では製作が追いつかなくて、旅先の車の中でも作っています。笑

ーバイキング形式とはなんですか?

シールの裏に星マークをつけて、「星の数が合計何個まではいくらだよ!どんなシールが埋まってるか、宝探し気分で探してみてね!」と、遊びの要素、買う楽しみを付加価値にして販売しています。

ー東急ハンズ等、常設での販売はしていないのですか?

昔は東急ハンズ梅田店に常設していた時期もあるのですが、あまり面白くないんです。自分が作ったものが知らない間に、誰か知らない人に売れていて、通帳に記録だけが残るというのはつまらなくて。「自分らしくないな」と思ったんです。

放浪書房もそうだけど、「次はいつ出会えるか分からない、買えるか分からない」という、不意な出会いと特別感は最高のスパイスだと思っています。

ただ置いてあって、気に入ったお客さんに売れれば良いなんて死んでも嫌なんです。

自分が好きなもの、他にはない珍しいものが、お客さんに届くように、魅力が伝わるように話しかけたり、呼び込みする
。オシャレな商品に不釣合いな暑苦しい売り口上も名物です。(笑)

放浪書房-タイムアドベンチャーレコード
放浪書房-タイムアドベンチャーレコード
ーワークショップもされているんですか?

はい、コラージュやスクラップブック作りのワークショップも開催したりして、物作りの時間や空間も提供しています。

実は、2014年に島根県松江に支店が出来たんです。(笑)

その前の年に3ヶ月、新潟から北陸、山陰をフラフラ旅していて松江で放浪書房をオープンしたんですが、その時のお客さんの女の子(しほちゃん)が、Facebookでこのアンティークの紙商いの存在を知って、「松江でもコラージュのワークショップやりたい!」と招いてくれてそれがきっかけで、島根県松江支店として、彼女がアドコラージュシールを販売してくれることになったんです。

放浪書房-タイムアドベンチャーレコード
放浪書房-タイムアドベンチャーレコード

彼女は本業を持つ社会人。「自分のペースで、やりたい時に、縁があった人と縁のある場所で小さく楽しく小商いしてね。そんで売上に応じたパーセンテージを支払う」が基本契約です。(笑)

彼女の場合、自身が変なシール好き。(笑) & コラージュ好き。

お客さんとワイワイやりながらアドコラージュのワークショップをする時間や空間が好きみたいで、ワークショップのオファーもちょくちょく来ていて、教えるのは自分より上手いし、彼女が作ってくれたアドコラ作品を見本として並べてるんですが、売ってくれという問い合わせも多いです。

有名アーティストの島根ライブの会場装飾にアドコラ作品を並べたりと「日本で唯一のアドコラ作家」と超ニッチなポジションになっています。(笑)

放浪書房-タイムアドベンチャーレコード
放浪書房-タイムアドベンチャーレコード
放浪書房-タイムアドベンチャーレコード
放浪書房-タイムアドベンチャーレコード
ー支店と本店はどのように仕事を分担しているのですか?

お互いがかぶらないタイミングでイベントや販売の予定を入れながら、一つの商品、一つのサービスをシェアし合って、小商いしています。

商品は、本店(自分)と島根松江支店(しほちゃん)の間を行ったり来たりしてます。

ー今後のタイムアドベンチャーレコードの予定は?

2017年はタイムアドベンチャーレコードの当たり年で、全国の東急ハンズからイベント出店のオファーが相次いでいて秋までスケジュールがいっぱいです。

松江支店はしほちゃんの本業の資格試験があるのでタイムアドベンチャーレコードは自重気味。笑 きっと、そういうタイミングなんだなと。

編集者佐藤の感想:
自分な好きなことから始めた「タイムアドベンチャーレコード」が、今では放浪書房と並ぶ事業に。

とみーさんの働き方は、自分の好きなことを発展させて、人に楽しんでもらえる状態にする。そして更に、自分の大好きな接客を通じて”人に届けること”に繋げていくような、そんな働き方。

人の知らなかったようなことに、とみーさんの視点をプラスして、「こんな楽しみ方があるんだよ」「こうしたらもっと楽しめるんだよ」と伝えることで、世の中にちょっとしたエッセンスを加えているように思います。

常設での販売が、「自分らしくない」と言うところが、お金を第一に考えず、あくまで”人との出会い”を大事にするとみーさんの魅力です。

小商いのシェアという側面まであるタイムアドベンチャーレコード。これからもその”人との出会い”を大切にする働き方の輪がどんどんと広がっていって欲しいです。

次回の記事では、放浪書房の他の小商いについてもご紹介いたします。公開まで少々お待ち下さい。
→公開情報はFacebookページでチェック!

放浪書房情報

名前 放浪書房(ほうろうしょぼう)
HP http://horoshobo.com/
ブログ http://horoshobo.com/?page_id=98
SNS Twitter / Facebook
放浪書房-タイムアドベンチャーレコード

-働き方
-

執筆者:

関連記事

ホテルマンから旅人へ

「失敗が最大の親友」ホテルマンから動画で収入を得る”旅人”への転身

エルリックは今世界を旅しながら、その様子の動画を上げることで収入を得て生活しています。 4年前に大学を卒業。何をすればいいか分からず職を転々としました。それでも常にクリエイティブな分野で活躍したいと考 …

石ぱくたそ

心が温まるお金の稼ぎ方 – ゼロからイチを生み出す

こんにちは。TAKUTAKU編集部ふずです。 今日はお金を稼いだ事例を紹介します。お金の事例といってもギスギスしたものでなくて、心に少し刺さるものがある、「自分も考えてみよう」「こんなことしてみたい」 …

放浪書房

旅する本屋「放浪書房」〜革のトランクを1個買って始めた〜

Photo by 放浪書房 旅をしながら、旅先で仕入れた本を売り歩く。”人力移動型”の一風変わった本屋「放浪書房」を行う富永さん(通称:とみーさん)にお話を伺いました。 現在連 …

バンでコーヒーの移動販売

旅をしながら稼ぐという暮らし方 /好きなことで生きていく

こんにちは。TAKUTAKU編集部ふずです。みなさん、旅は好きですか?僕は好きです。 「好きなことで生きていく」というと何だか批判の対象になる風潮がありますが、シンプルに考えると、好きなことで生きてい …