ルーシーと夫、二人の子どもの四人家族は、より自然と密接にかかわる生活を求めて仕事をやめ、家も処分してニュージーランドに移住しました。この選択がすべての人に当てはまる事ではありませんが、二人にとっては大正解だったそうです。
以前はロンドンで、古いヴィクトリア様式の広い家に住んでいました。ルーシーはNGOの職員として働いていて、夫はユースワーカー(青少年を援助する仕事)でした。ロンドンでの生活は満足なものでしたし、それが気に入ってもいました。
でも2番目の子どもを授かった時、実はもっと違う生活を本質的には求めていたことに気がついたのです。自然環境と密接につながった生活への憧れに気がつきました。
ロンドンの家にはたくさんのものがありました。夫妻はガレージセールを開いてほとんど半分のものを処分して、本当に気に入ってるものだけを持ってニュージーランドにやってきました。
仕事も持たず、どこに住むかのかもわからない状態でニュージーランドに行くことに怖さはなかったとルーシーは言っています。
ニュージーランドで目にするもの全てが冒険のようで、ただそれに飛び込むだけという気持ちの準備ができていました。二人の性格的なものもこれに合っていたのでしょう。
ニュージーランドで最初にしたことは、中古のバスを買う事でした。そのバスに荷物をすべて積み込んで、ニュージーランド中を見て回り、気に入った場所を探しました。
場所が決まってから、ヤート(テント)を買いました。最初に買ったヤートは気に入って一年半ほど住みましたがやや小さく、今はAirbnb(民泊サービス)に出して、二つ目のヤートに住んでいます。
ヤート(テント)といっても、普通の家と同じくドアやガラスの窓があり、虫などの心配もなく快適です。そして、キャンバス地の壁(布?)一枚の向こうには自然があり、外の世界とつながっているという気持ちをもたせてくれます。
ルーシーはオンラインでフリーランスのライターやYouTubeチャンネルなどを運営しておりそこからの収入がありますが、他にもAirbnbに出した前に住んでいたヤートからも収入を得ています。
将来はそれをもっと発展させて、農業体験や様々な自然学習ができるサービスを提供できるようにしていきたいと思っています。
今は夫妻二人とも週に3日ほど働き、あとは育児や家族の時間を持つという生活をしていますが、とてもバランスがとれていると考えています。
子どもたちはアンスクーリング(学校に行かせない・教育を受けないという意味ではなく、学校のような堅苦しい場所以外で伸び伸びと子供を育てたいという考え)を選択していますが、夫妻は自然に囲まれて自給自足をする今の生活が子どもたちの情緒を豊かにし、人間的に成長させてくれると感じています。
オフグリッドの自給自足をしながら自分や家族全員の生活を支えていくことは大変な事でもあります。ルーシーたちはもしこのような生活を考えている人が他にいたら、是非チャレンジしてみてほしいと言います。ほんの数か月でもやってみて、オフグリッドライフの勿論大変なこと辛いことも含めて、この生活ができる機会が与えられたという素晴らしさを知ってほしいのです。